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相続税がどのくらいかかるのか知りたい。運用して資産が増えたはいいものの、この資産を次の世代にスムーズに渡すためにはどのようにしたらいいのでしょうか。そんなご相談を多くお受けします。まず、相続税を算出するにあたり、基礎控除できる金額があります。『3000万円+600万円×法定相続人の数』例えば、夫婦に子供が2人いるご家庭で、父親が亡くなったとします。この時、法定相続人は妻である母親と子供2人の計3人です。よって、基礎控除額は4800万円。つまり、父親の資産が4800万円以下であれば相続税はかかりません。この基礎控除額は2014年までは『5000万円+1000万円×法定相続人の数』でした。同じ家族構成だとすると、基礎控除額は8000万円。基礎控除額が引き下げになったことで、相続税の支払い対象者は2015年には約2倍に増加しました。相続財産は現預金、株や債券などの有価証券以外に自宅も含まれます。4800万円というと余裕があるように感じる方も多いかもしれませんが、意外に対象となる方は多くいらっしゃいます。相続税の支払いが身近な課題になるご家庭が増えています。
「相続」というと配偶者半分、子供半分にしなければいけない、そんなふうに思っていらっしゃる方も多いと思います。先ほども出てきた、「法定相続人」というのが、「民法で定められた被相続人(亡くなられた方)の財産を相続できる人」です。しかし、必ず法定相続人に相続させなければいけないわけではありません。「相続」について考えるとき、・自宅は妻に遺したい・自社株は事業を引き継ぐ長男に遺したい・寄付したい・生きている間に孫にも教育費を出してあげたい・子供達が揉めないように準備しておきたい、など大切な資産を誰に、どのくらい遺したいのか何かしら「想い」があるかと思います。まずはその想いとご自身が向き合うことが「相続」準備をはじめるスタートラインです。
想いが明確になると、次にすべきことは財産を把握する、ということです。ある調査では、相続で子供が親にやっておいて欲しいことの第1位に「何がどこにあるのか明確にしてほしい」という結果が出ていました。ご自身でも〇〇銀行の××支店普通預金、定期預金、とそれぞれ何がどこにどのくらいあるのか把握していない方も多いのではないでしょうか。遺言書を作成する際も、この作業に一番苦労します。預貯金、不動産、有価証券、生命保険、あったはずだけど保険証券どこにあるかな、通帳あるけどこれ、残高あるのかな、まずはこういったご自身の資産を整理するところから相続準備は始まります。これが出来上がると、相続準備はほぼできたも同然。その先は具体的に士業と連携した相続税の算出など必要なケースも多いですが、財産一覧があることで遺された家族の事務的な負担は大幅に軽減できます。
歳をとるにつれ大きくなるのが健康への不安。生涯ずっと健康に過ごしたいですが、いつ何が起こるかわからないもの。中でも認知症は65歳以上の方の5人に1人が発症するものとも言われ、不安が大きいとされています。もし自分が認知症になってしまったら・・と万が一があった場合に財産の管理をどうすればいいのか不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。そこで近年注目度が増しているのが「家族信託」です。家族信託とは、資産管理・承継が円滑になることを目的として、お客様の資産の一部を「信託財産」として家族に託す仕組みです。認知症等によりお客様ご本人の意思能力が低下した場合でも、家族信託を使って事前に準備をしておくことにより、ご家族が資産管理・処分を継続することができます。認知症や介護状態が続いた場合、資金の受け取りができず、治療費や施設代の準備に苦労される方も多くいらっしゃいます。長期化している認知症や介護に備え「相続」を考えるときには併せて考えておきたいですね。
CSアセット株式会社
土方 朋
1級ファイナンシャルプランニング技能士。
2008年 三井住友銀行一般職入行(熊本支店)
2014年 キャリアチェンジのため総合職へ職種転換。 地権者、法人オーナーを中心とする都心富裕層エリアを担当し、資産全般、相続承継コンサルティング業務に従事。
2021年 三井住友銀行を退職し、IFAとして独立。
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