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投資妙味が高まる外国債券

外国債券の利回りは、過去と比較して魅力的な水準となっており、投資妙味が高まっていると考えています。インフレや中国経済の行方など、先行きの世界経済に不透明感が漂うなか、債券の安全資産としての側面を高く評価できるタイミングとみています。

この記事では、外国債券とは何かについて整理し、債券の投資環境を俯瞰するとともに、なぜ今、外国債券に注目できるかについて解説していきます。

債券の種類・外国債券とは

債券には発行体の格付け、破綻した際の弁済順位や償還までの年限などによって様々な種類に分類することができます。その中で外国債券とは、一般的に発行体が外国籍企業、発行市場が海外市場、発行通貨が外貨建てのいずれかである債券のことを指します。世界中の企業や投資家が取引している債券が多く、多様な発行通貨や種類があります。

債券の基本的な性質

債券は基本的に発行体が破綻しない限り、投資元本が償還されます。ただし、運用期間中は、債券も株式や他の金融資産と同様に価格が変動します。
債券価格の変動要因は大きく分けて「金利」と「発行体の信用力」の二つがあります。

債券の投資環境が良い理由

先述したように足元では外国債券の投資妙味が高まっていると考えています。そのように考える理由は、①相対的に高い利回り、②良好な投資環境の2点があります。
①相対的に高い利回り
下図に示すように主要債券の利回りは、株式やREIT(不動産投資信託)などの利回りと比較して相対的に高い水準が続いています(利回りの定義については下図注参照)。
背景には、堅調な労働市場を追い風に個人消費が活発化し、インフレが長期化するとの見方から債券利回りが上昇していることなどが挙げられます。加えて、コロナ禍からの経済活動の正常化を受けた企業業績の改善などで、株式市場が上昇しており、配当利回りが低下していることが寄与しているとみられます(配当が一定ならば、株高によって配当利回りは低下します)。このように、債券利回りの上昇と株式の配当利回りの低下によって、債券の利回り面での相対的な魅力が高まっていると判断できます。また、過去10年平均と比較しても、主要債券の利回りが高いことも重要なポイントと判断しています。

注:米国債は米10年国債利回り。米IG (投資適格債)は、Bloomberg US Corporate Bond Index、米HY (ハイイールド)債は、Bloomberg US Corporate High Yield Total Return Index、CoCo債は、Bloomberg Contingent Capital USD Total Return Index、新興国株は、Bloomberg Emerging Markets Hard Currency Aggregate Indexで、それぞれ最低利回り。米国株は、S&P500指数、日本株は、TOPIX500指数、欧州株は STOXX欧州600指数、新興国株は、MSCIエマージング・マーケット指数、米国REITは、ブルームバーグREIT指数、日本REITは、東証REIT指数で、それぞれ過去12ヶ月の実績配当利回り。過去10年平均は、2012年1月~2022年12月の平均値。直近値は2023年8月23日
出所:Bloombergのデータをもとに当社作成

②良好な投資環境
利回り面での相対的な魅力に加えて、債券の実質利回りがプラス圏で推移していることも好材料とみています。実質利回りとは、名目利回りからインフレ率(物価上昇率)を差し引いた利回りを指します。投資家が将来の購買力を維持・向上させるためには、インフレ率を上回るスピードで資産を成長させる必要があります。足元のように、実質利回りがプラスであるということは、物価上昇による実質的な資産の目減りを回避できることを意味しています。そのため、債券投資を行う上で良好な環境が整っていると判断できます。

注:データは月次で直近値は2023年8月23日。実質利回り=名目利回リーインフレ率 (物価上昇率)。名目利回りは、米10年国債利回り、インフレ率 (物価上昇率) は、米10年物価連動国債利回り
出所:Bloombergのデータをもとに当社作成

おわりに

弊社では経済、金融市場について、当社の公式見解であるハウスビューを毎月作成しております。
投資家の皆様が資産運用を判断する上での一助になれば幸いです。
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エグゼクティブディレクター
法人名:株式会社IFA Leading
加藤 映美

2017年にSMBC日興証券本店に入社。個人・法人向け資産運用コンサルティング業務に従事する。 本質的な運用提案をしたいという想いと自身のスキルアップのため、2019年にIFAとして独立。 資産運用のみならず、法人保険や不動産などのソリューションも提供している。またセミナー講師も経験。 2022年にIFALeadingの創業に参画。

株式会社IFA Leading
金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第959号
〒150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2丁目8番9号 ディフェンスファースト2階

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