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COLUMN コラム

これからはゴールベース資産管理は当たり前の時代に

儲かりそうなものを探していませんか?

突然ですが、あなたがフルマラソンを走るとしたらスタートから全力で走りますか?
きっとペース配分を考えると思います。なぜか?途中で体力が持たなくなることが目に見えているからです。
ゴールが42.195kmと決まっているからこそ逆算してペース配分ができます。

資産運用においてもゴール(運用目的や目標)から逆算して自分に合ったペース配分(投資額や投資期間、リスク許容度など)を決めることが大切です。

金融の先進国である米国では1990年代半ばに、「次に儲かりそうなもの」を追求する投機(ギャンブル)的な投資方法から「ゴールベース資産管理」に変化していきました。
これには、投機的な投資方法では期待リターンや推計リスクといった一定の予見性がなく、ゴールを達成するためには向かないため廃れていったという背景があります。

図1は投資家の行動ギャップを示したものです。1980年頃~30年間の米国株式と債券のリターンを市場インデックスと投資家で比較したものです。
ご覧いただくと、市場インデックスよりも投資家の利益が大きく下回っていることがわかります。
1980年以降は1987年のブラックマンデーや2000年初頭のITバブル崩壊、2007年のサブプライム・ショックなどがあり、幾度となく下落がありました。
そのような下落があったとしても持ち続けることができれば10%を超える年間のリターンを得られましたが、投資家は3.79%と半分以下のリターンとなっています。これには、途中で売買(行動)をしたことにより大きく減少したことが考えられます。

逆にいうと、売買するより長期運用を続ける方がリターンを得られたということです。
そのためゴールから逆算して自分に合ったペース配分を維持することで長期運用が可能になると筆者は考えます。

自分にとってのゴールとは?

ここでいう「ゴール」とは、一人ひとりの人生の課題や目標、ニーズのことです。

ゴールは、必ずしもひとつに絞る必要もなければ、明確でないといけないわけではありません。
ゴールベースが広く普及している米国では Goals-Basedと表記され、単数形ではなく複数形で表記されていることもゴールが決して一つではないことを表しています。
また、ゴールと聞くとハードルが高く感じるかもしれませんが、「今と同じ生活レベルを維持したい」「安心して生活したい」、そのような漠然とした思いも立派なゴールと言えます。

書籍『ゴールベース資産管理入門(2016)』を参考にゴールベース資産管理のステップをお伝えします。

①ゴールを書き出し、優先順位を決める
何のために運用するのか、いつまでにいくらにしたいのか、どの程度のリスクを取れるのかを確認します。
ゴールがいくつかあれば、想定通りに増えていない(下落していた)場合には我慢できることなのか、などの優先順位を決めます。

②将来のお金の状況を試算し、プランを立てる
現状の収支や年金などの将来の収支をもとにどの程度のゴールが実現可能かを考えます。
収支のバランスの見直しや退職時期なども考えることが大切です。

③お金の置き方、働かせ方を考える
資産の状況も把握し、しばらく使わないお金があれば、どのように運用をするか考えます。
自分に合ったリスクリターンで資産配分を決め運用を始めることをお勧めします。

④状況を定期的に確認する
運用の状況は定期的に確認し、運用目的の再確認や運用実績が想定の範囲なのかを確認します。
必要に応じて資産配分の見直しを行います。

最初から自分に合った資産配分が決まるものではありませんし、運用目的が変わることも考えられます。
大切なのは、①~④を循環させて少しずつ自分に合った資産配分を見つけ長期で運用をすることです。

ぜひゴールベース資産管理を取り入れていただき、1度きりの人生をより良くしていただければ幸いです。

【著者】
株式会社バリューアドバイザーズ
代表取締役
五十嵐 修平

父親の影響により大学生の時に株式投資を始めたことをきっかけに、投資の無限の可能性を感じ東証一部上場の証券会社入社。 実務経験を重ね退職、お客様と金融機関の利益相反をなくし、中立の立場で提案したいとの想いを叶えるべく、2013年2月に株式会社バリューアドバイザーズを設立。

株式会社バリューアドバイザーズ
金融商品仲介業者 関東財務局長(金仲)第746号
〒160-0022 東京都新宿区新宿4丁目3番17号 FORECAST新宿SOUTH 3階

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