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金融機関の営業パーソンとIFAの違いとは?

金融機関の営業パーソンとファイナンシャルアドバイザー(IFA)の違いについて考えるとき、働く側から違いを考察するか、お客様の立場になって違いを考察するかによって大きく内容が異なる。
お客様の立場にたってIFAを見てみると、IFA個人でも、IFA法人でもそれぞれ理念や強みが異なるため、簡単に違いを議論できない。
そのため、今回は金融機関の営業パーソンとIFAについて、働く側の視点で考察しその違いを考えていきたいと思う。

営業方針に縛られず、自ら付加価値を考える

まず大前提だが、IFAで活動する人の多くが銀行、証券会社、保険会社等の金融機関出身者が多い。新卒でIFA法人に入社する人はいるが、全体から見ればまだ少数であろう。
金融機関で働く営業パーソンの多くは3-5年前後の間隔で異動し、その度にお客様が変わる。場合によってはその3-5年の間で担当するお客様が入れ替わることもある。つまり、お客様の担当については受動的である。当然、入社直後に新規開拓をする人も多いが、次第に前任の担当者のお客様を引き継いでいくというのが一般的な働き方である。
一方、IFAの多くは金融機関と異なって既存のお客様を担当するということはあまり多くないだろう。IFAの世界ではどのようにしたらお客様になって頂ける方が増えるのか、自ら思考することから始める必要がある。つまり、IFAとしてどのような価値をご提供できるのか、これを絶えず考えることがスタート地点になる。言い換えるなら、金融商品のご案内のみならず、お客様の関心やまだ気が付かれていない未知なるB地点までを構想し、お客様の期待を超えていくということから始める必要があるということである。
金融機関でお客様を担当するように命じられ活動することと、IFAとして活躍していくことの大きな違いは、受け身で人生が進んでいくことでは得られない能動的な充足感の大きさである。全ての面において能動的であるIFAだからこそ、お客様の満足や社会がよくなることを感じられたときは、喜びもひとしおだ。

「目を引く」から「定番」へ

金融機関では収益目標や金融商品別の販売目標の達成、象徴的な案件をクローズし1つの異動サイクルである3-5年前後で、ある種目立つことで上司や人事部の目を引くことが重視される傾向にある。そうしないと、良い異動は勝ち取れないし出世もできないだろう。
しかし、IFAではそういった3-5年という時間軸で目立つことは求められていない。お客様から信頼いただき、それが永くつづくことに価値がある。
この日本で古来より愛され続けているおにぎりは、この世に登場してから今に至るまで一度もトップランナーになった経験はないだろう。ただただ多くの人の期待に応えてきた結果、栄枯盛衰の激しい環境の中で最も優れた長距離選手となっていた。
IFAは永くお客様に愛され続けることが大切であり、多くの金融機関の営業パーソンでありがちな一時の流行やイベントに左右されるような浮き沈みがあるお付き合いは必要ない。お客様ファミリーの人生に寄り添い一生涯信頼される定番になることが何よりも重要である。

IFAという扉までの道のり

金融機関の多くは歴史に裏打ちされた一定の知名度、信用力、安心感があるが、IFAという業界には金融機関に勝るそれはまだないかもしれない。主観だが、金融機関の人と話す際にIFAであることを告げると、周囲の空気が一瞬変化する。相手の目の奥の移ろいや、違和を覚え目じりに変化が生じることで感じる空気ともいえるかもしれない。そこには何かしらの違い、ギャップ、ボーダーがある。
たしかに金融機関に勤務していたときは、金融機関でできることの多さに自信を持っていたときもあったからなのか、IFAという業界や働き方がよく分かっていなかったにもかかわらず、IFAのことを斜め上から他人事のように見ていたことがあったかもしれない。
しかし、いざIFA業界に進んでみると、世界が広がったような、ふと腑に落ちたかのような感覚があった。社会人なりたてのときに着たジャケットは着丈が短く、スラックスはタイトなものを履きこれがクールだと思っていた時期があったが、ふとしたタイミングでブリティッシュの伝統的な着こなしに出会った。お尻まで隠れる着丈のジャケットをはおり、タック付きで股上が深いスラックスを履いてみたとき、急に大人じみた感じがして、意外にもしっくりきたのを思い出す。
それは、自分が良いと思っていなかったものが好きになった瞬間、自身の延長線上にはなかった嗜好に触れ、世界が広がったような感覚を得たということであろう。IFAでも金融機関のようにお客様に対して幅広くサポートでき、自由度が高い分クリエイティブな発想を起点とした取り組みも可能であることを知ったとき、まさにこのような感覚であった。
自身のキャリアや人生設計を考える際、自分の未来は逆光であまりよく見えないということを自覚しておきたい。それでも諦めず何かを手繰り寄せていくとそこには扉が置いてある。それは自動では開かないから自分の手で開けることでしか入れないが、金融機関の営業パーソンがたどり着いたIFAという扉は誰にでも開けることができるのは間違いない。

【著者】
ヴァスト・キュルチュール株式会社
代表取締役 山本 耕太郎

1985年、神奈川県生まれ。慶應義塾大学卒業後、日系銀行、外資系投資銀行の東京オフィスを経て、スイスプライベートバンクであるUBS銀行にて勤務。2019年12月にヴァスト・キュルチュールを創業。矛(ほこ)盾(たて)経営の「盾」として、企業文化・理念の浸透、ブランディング、非営利組織との共創責任者を担当。レイジング協会Associate Certified Fundraiser

ヴァスト・キュルチュール株式会社
金融商品仲介業者 近畿財務局長(金仲)第436号
〒541-0047 大阪府大阪市中央区淡路町二丁目1番13号

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