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目次
不動産の相続は、人生の中でも特に複雑で悩ましい問題の一つです。
家族の大切な財産をどのように引き継ぐべきか、法律や税金の仕組みを知らないと、大きな損失やトラブルにつながる可能性があります。
今回の記事では、不動産相続に関する法律や税金、手続きについて解説し、初心者の方でも分かりやすいように実践的な知識をご紹介します。
不動産相続を進めるうえで、最初に重要なのは手続きの全体像を把握することです。相続が発生してから相続登記や相続税の支払いに至るまでには、いくつものステップがあり、それぞれに法的なルールが存在します。
ここでは、相続発生から実際に不動産を相続するまでの流れについて、具体的に見ていきます。
①相続人の調査
不動産の所有者が亡くなって相続が発生した場合、相続人が誰であるかを調査し、確定する必要があります。亡くなった人の戸籍謄本を確認することで行われます。法定相続人は配偶者や子どもが一般的ですが、場合によっては兄弟姉妹や遠い親族も含まれることがあります。
②遺言書の有無の確認
次に、故人が遺言書を残している場合は、その内容を確認します。遺言書には自筆証書遺言や公正証書遺言などがありますが、特に自筆証書遺言の場合は家庭裁判所での検認手続きが必要です。これを怠ると、遺言書が無効になる可能性があるため注意が必要です。
③遺産分割協議の実施
遺言書がない場合や、相続人全員で合意が必要な場合は遺産分割協議を行います。この協議では、相続人全員が参加し、不動産やその他の遺産をどのように分けるかを話し合います。合意に至った場合は、遺産分割協議書を作成し、全員が署名・押印します。この書類は、相続登記手続きや税務申告で重要な役割を果たします。
相続登記は、登記簿上の所有者を故人から相続人に変更するための手続きです。2024年(令和6年)4月からは相続登記が義務化されたため、早めの手続きが一層重要になっています。
登記が行われていない場合、不動産の管理や売却がスムーズに進まないだけでなく、相続人が複数いる場合には共有名義の状態が長く続きます。
その結果、共有者全員の同意が必要なため、売却や活用が困難になることや、不要な税負担が増える可能性があります。
相続税の申告が必要となるかどうかは、基礎控除額を超える遺産があるかどうかで判断されます。2024年現在、基礎控除額は以下の計算式で求められます。
基礎控除額 = 3,000万円 + (法定相続人の数 × 600万円)
たとえば、法定相続人が2人の場合の基礎控除額は4,200万円となります。この金額を超える遺産がある場合には、相続税の申告が必要です。
相続税の申告期限は、相続が発生した日から10か月以内です。この期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税が課されるため、必ず期限内に手続きするようにしましょう。現金での一括納付が基本ですが、納付が困難な場合は物納や延納の制度を活用することも可能です。
不動産を相続する際に、相続人間でどのように分けるかが非常に重要なポイントになります。不動産は現金や預貯金のように簡単に分割できないため、適切な方法を選択する必要があります。
分割方法としては、大きく「現物分割」「換価分割」「代償分割」の3つがあります。それぞれの方法には特徴やメリット・デメリットがあり、相続する不動産の状況や相続人の意向に応じた方法を検討することが求められます。
現物分割とは、不動産をそのままの形で分割する方法です。たとえば、相続人の一人が土地や建物全体を単独で相続するケースや、広い土地を区分けして複数の相続人がそれぞれ所有するケースがこれに該当します。
この方法の最大のメリットは、不動産という形で資産を維持できることです。不動産を活用したい相続人にとっては、特に適した方法と言えます。ただし、都市部の狭い土地や分割が難しい建物の場合は、物理的な分割が現実的でないこともあります。また、不動産の価値に差がある場合、公平な分割が難しく、相続人間で不満が生じる可能性もあります。
そのため、現物分割を行う際には、不動産の特性や相続人全員の合意が必要です。
換価分割は、不動産を売却し、その売却益を相続人間で分配する方法です。この方法は、相続人が不動産を活用する予定がなく、公平な分配を重視する場合に選ばれることが多いです。不動産を現金化することで分割がしやすくなり、相続人間での意見の食い違いも生じにくい点が特徴です。
ただし、思い入れのある不動産を手放すことになる点は注意点として挙げられます。また、売却には時間がかかることがあり、市場の状況によっては希望する価格で売却できない可能性もあります。
これらの点を踏まえ、換価分割を選ぶ場合には、相続人全員が納得するタイミングや売却条件について十分に話し合うことが大切です。
代償分割とは、不動産を特定の相続人が単独で相続し、その代わりに他の相続人に現金などで補償を行う方法です。
たとえば、不動産を利用する予定がある相続人がそのまま相続し、他の相続人には不動産の価値に見合った現金を支払うケースがこれに該当します。この方法は、不動産を保持しながらも相続人全員が公平に財産を受け取れるというメリットがあります。
しかし、この方法には代償金を支払う側に大きな負担がかかる場合があります。不動産を相続する人が現金を十分に準備できない場合には実現が難しいため、代償分割を検討する際には、相続人間で現実的なプランを立てる必要があります。
また、不動産の評価額をめぐって意見が割れる可能性もあるため、公平性を保つために専門家の助けを借りることが推奨されます。
不動産相続では、相続人間の意見が衝突し、トラブルに発展することが少なくありません。しかし、事前に適切な準備を行い、専門家の力を借りることで、これらの問題を未然に防ぐことが可能です。
ここでは、円満な不動産相続を実現するための生前対策や相続人間のコミュニケーションの重要性、専門家の活用法について詳しく解説します。
円満な不動産相続を実現するためには、生前からの準備が欠かせません。事前に相続対策を講じることで、相続人間のトラブルを未然に防ぎ、税負担を軽減することが可能です。
①遺言書の作成
遺言書は、被相続人の意思を法的に明確にするための重要な手段です。相続人間での遺産分割のトラブルを防ぐだけでなく、希望する財産配分を実現できます。
②生前贈与の活用
生前贈与を活用することで、相続時の財産を減らし、相続税を軽減することができます。特に、不動産の一部を贈与することで、相続人が事前に管理や活用方法を検討できるメリットがあります。
③専門家と相談しながら進める
生前対策は、税務や法律の知識を踏まえた計画が必要です。税理士や弁護士、不動産鑑定士などの専門家と連携することで、より効果的な対策が立てられます。また、第三者の意見を取り入れることで、相続人間の公平性を保ちやすくなります。
不動産相続において、トラブルの多くは相続人同士のコミュニケーション不足から生じます。財産の分け方や管理方法について十分な話し合いが行われないと、誤解や不満が蓄積し、相続手続きがスムーズに進まなくなります。
相続が発生すると、相続人全員が遺産分割協議に参加する必要があります。この話し合いの場では、以下のポイントを意識すると良いでしょう。
①全員が納得する分配案を目指す
法定相続分を基本としながら、それぞれの事情や希望を聞き、柔軟に対応します。
②透明性を確保する
遺産や不動産の評価額、税金などの情報を全員で共有することで、不信感を払拭します。
③第三者の立ち会いを依頼する
弁護士や税理士などの専門家を話し合いに同席させることで、公平な進行が期待できます。
本記事では、不動産相続に関する法律、税金、手続きの基礎知識についてお伝えしました。不動産相続は、遺産分割や相続税の計算、相続登記など複雑な手続きが絡むため、しっかりとした準備と正確な情報が不可欠です。
不動産を相続する際の基本的な流れや方法を理解することで、手続きをスムーズに進めることが可能です。そして、生前対策や相続人間の円滑なコミュニケーション、専門家の活用によって、トラブルを未然に防ぎ、円満な相続を実現することができます。
ぜひ本記事の内容を参考にして、不安を解消し、家族全員が納得できる相続を実現してください。
【著者】
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